パート1は2回観てもイマイチだったが、批評サイトの高評価を信じてパート2を鑑賞。大量破壊兵器の使用には若干辟易だが、終盤の高揚感には変え難く、鑑賞後の満足感は高い。
 にしても、パート1・2合わせて300分超は長い。失敗作とされるリンチ監督作も137分、TV再編集版に至っては189分。一方、宮﨑版duneとも言うべき「風の谷ナウシカ」は116分。砂漠が舞台。伝説の救世主となる主人公が支配階級名家の御曹子か、属国風の谷の王女。序盤で父が殺される。巨大生物の登場と兵器利用。1982年から連載が始まったナウシカが、1965年に発表された小説「デューン砂の惑星」の影響を受けてないとは言い難い。ただ、環境汚染を象徴する腐海や、金色の野に降り立つ伝説の演出などオリジナリティは高い。いずれにせよ2時間弱のアニメで、5時間強の実写以上の興奮を味合わせくれた宮﨑駿のストーリーテリングの巧みさに、改めて感謝。

類似点 Dune (1965) 風の谷のナウシカ (1982)
類似 相違
舞台 砂の惑星 炎の7日間戦争(核戦争の暗喩)で荒廃して砂漠化 猛毒の瘴気を撒き散らす菌類からなる「腐海」が拡大。ナウシカは栽培実験や腐海の地下を見た経験から、菌類が土壌の有毒物質を大気に吐き出し、正常な砂を腐海の底に溜めている事を確信。イタイタイ病の原因となった魚類が、人間が捨てた水銀を体内に蓄積して海を浄化していると感じた宮﨑監督の発想。
主役の
出自
支配階級の名家の御曹司 小国"風の谷"の姫(族長の娘)
主役の
運命
砂漠の民Fremenから、預言者/救世主Lisab al Gaibとして崇められる 大ババが語る「(清浄の地に導く)その者」である事が後に分かる
父の
立場
帝国の支配階級だが、皇帝には逆らえない 大国トルメキの属国で、族長自身や姫の派兵を拒否できない
父の
運命
皇帝の策略でハルコネンに捉えられ自害 映画(1985)では、病床を急襲したトルメキア兵が銃殺 原作漫画では、代わりに娘を派兵しなければならい程病気が悪化している事以外不明
青色
の変化
生命の水を飲んだり、スパイスの影響を長期間受けると瞳が青化 傷ついた王蟲の幼体を庇った際、ナウシカの衣服が王蟲の血で青く染まる👉️青き衣を纏う「その者」の条件を満たす 変色するのはナウシカの衣服のみで、他の登場人物も身体も青化しない
巨大
生物
砂蟲 Sandworm
砂漠の民Fremenが地面に振動を与えて意図的に呼び出し敵を襲わせる
王蟲
ペジテ市民が、傷つけた幼体で王蟲の大群を風の谷に向かわせる(「進撃の巨人」的には地均し?)
Duneでは主人公側が兵器利用するが、ナウシカではヒロインの母国が被害を受けかける
生命
維持
装置
砂漠の民Fremenが着ているスティルスーツは、汗や排泄物から水分を回収し、チューブを通じて鼻から人体に戻す 5分で肺を腐らせる瘴気を吸い込まないように、腐海ではマスクを着用する Duneでは乾燥が最大の的だが、ナウシカでは乾燥は砂漠での活動を制限する要因とは描かれない
緑地へ
の憧憬
砂漠の民は死者から回収した水を地下に大量に溜め込み、砂漠が緑化される日を夢見ている 腐海の地下にアスベルとナウシカが落としたチコの実が芽吹いた場面で映画は終わり、腐海が広まり清浄化された後に、緑地が再生されそうな希望を抱かせる

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