「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」をネタバレしまくりで語る 第一幕 | 新規おっさんノフのブログ

「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」をネタバレしまくりで語る 第一幕

前回のブログで極力ネタバレなしで語った「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」



10.3に2回目を観に行って、細かいところまで見ることが出来たので、

今度はネタバレありで1幕、2幕と2回にわけて色々書きたいと思います。

ちなみに1回目は後方センターの席で全体の動きがよく見え、

2回目は前10列目上手側で横からのフォーメーションや表情も把握。

今回はステージ形状が変則的なので、全く違った角度で見られたのは良かったですね照れ

あと1回目と2回目の大きな違いは、やはりメンバーに余裕が感じられました。

1回目に見に行ったのはまだ2公演目でしたから、やはりかなりの緊張感を感じました。

それが程よく解けてのびのびと演じて歌ってたなというのが好印象でした。

私も話が入っている分、2回目のほうが広い視野で見られた気がします。

1回目はほとんど主役の百田さんしか目に行かなかったですしねタラー

それでは第1幕からグダグダと振り返ってみます。


<embryo -prologue- [insrumental]>
オープニング。自然と始まったダンス部4人の会話。

そこから暗転し、突然の悲劇に襲われたところで「embryo -prologue- 」がBGMに使われる。

これがドームトレックツアー「AMARANTHUS」のオープニングを彷彿とさせるとともに、

恐るべき惨状のシーンを和らげ、状況説明による劇のテンポダウンさせる事なく、

ドラマチックに場を転換させるのに成功していると思います。

また神秘的なメロディーと鼓動が、観客を異世界の扉へといざなう役割を果たしている。

開始早々にグッと引き込まれた演出でした。



<WE ARE BORN>
続く「WE ARE BORN」は、ももクロ4人と大勢の天使たちによるアンサンブル曲。

男女混声の力強いコーラスと、普段とは違った激しい振り付けが鬼気迫ります。

これが円形ステージを広く使った大きく動くフォーメーションで、ももクロのダンスとはまた別のハードさ。

よくこれを別の役を演じながら歌えるなと、初回鑑賞時に感心してました。

それからこのシーンで凄いと思ったのが衣装の早替え。

冒頭の日常シーンでは普通の制服姿だった4人が、

「embryo -prologue- 」が鳴っている僅か1分半ほどの間で白い制服に着替え終わっている。

これにより4人が生者から死者となったことを、ビジュアルで見事に表現していました。

このシーンに限らず、とにかくこの舞台は衣装替えによる演出が素晴らしくて、

役者だけでなくスタイリストなどのチーム力が光っていたと思います。

それから、この舞台のあらすじが公開された時に、彼女たち4人が冒頭で死ぬとわかったと同時に、

これは「Guns N' Diamond」か「バイバイでさようなら」が来ると高をくくってたので、

いきなりオギャーと来たのには意表をつかれましたね。

この「embryo -prologue- 」からの「WE ARE BORN」という流れは、

ドームトレックツアー「AMARANTHUS」をなぞるような演出に思えますが、

単なるオマージュではなく、この舞台における独特な世界観を表現しています。

すなわち後にミーニャと坂上が解説する「死=即座に輪廻転生」という世界の理、

死の直後に誕生を歌う曲を持って来ることで、そのことを観客に思い知らせる仕組みになっている。

ももクロ曲でミュージカルというコンセプトが、ピッタリとハマっている選曲ですね。

この曲の中で詩織、彩夏、れにの3人は死を受け入れて天使に連れられていき、

死に気づいてない夏菜子だけは天使たちに必死に抵抗している対比が印象的でした。

居心地の良い世界から押し出されるという、独特な歌詞ともシンクロしていたと思います。


<世界の秘密>
ミーニャと坂上がこの世界の理を歌う、この舞台の描き下ろし挿入歌。

素晴らしいの一言、なんて美しい曲なんだろう。サントラあったらこの曲のためだけに買いたい。

夏菜子とのやり取りによる説明がありながら、曲の流れは殺さずゆったりと流れる。

これがDMB音楽監督の宗本康兵作曲なんですから、やっぱとんでもない人ですよこの人。

それから歌うシルビア・グラブさん、妃海風さんの歌声はもちろん素晴らしい。

本物のミュージカルスタアの風格、歌の美しさと迫力に一瞬で魅了されてしまいました。

彼女たちの演じるキャラクターは夏菜子に出し抜かれたり、

古臭い名前にコンプレックスを持っていたりと人間臭く、コミカルに描かれてますが、

その圧倒的な表現力が、ももクロ4人と対比されることにより、

彼女たちが人ならざる特別な存在であることを思い知らされます。

そしてその力は、物語後半で凄まじい感動を生むことになるのです。


<サラバ、愛しき悲しみたちよ>
ただただ圧巻。それしか言葉が出ない。


事前に公開されたリハの映像でスゲーってなってたのですが、生で聴く迫力はそんなレベルではない。

前回も書いたけどももクロの振り付けを再現しつつ、歌が全くぶれない、声量も変わらない。

本物ってこういう人達なんだ、エンタメの世界ってスゲェと改めて思いました。

ももクロの歌やダンスの実力が上がって、他のアイドルとは違う~みたいな自慢する人がいるけど、

まだまだ神々の領域の人達と比べたら、人間の領域レベルなんだなぁと感じたのでした。

もちろんこれを何曲も連続でやったり、3時間超えるライブをやるももクロは別ベクトルの化物なんですけどね。


<仏桑花>
玉井詩織の舞台に立つだけでキラキラしてしまう特殊スキル発動。

純白のドレスを身にまとい、仏桑花のイントロとともに、

ゆっくりと階段を降りる美しい姿だけで金が取れるレベルなのはずるくないですかはてなマーク

あかりんがよく着物のパンフレットなどのモデル仕事をしていますが、

玉井さんもそういった仕事が来てくれないものかと思いました。

このシーンで夏菜子のドゥ・ユ・ワナ・ダンスにつられて、自然と踊り出す姿がまた美しかったなぁ。


<青春賦>
超優秀な演劇部次期部長の明美ちゃんではなく、部員をいまいちまとめられない彩夏ちゃんの話。

青春賦を歌いながら登場するのだけども、他の部員たちはその間そっぽ向いている。

舞台「幕が上がる」では自然と部員達が声を合わせていたのと対比になっている気がします。

その様子をみた彩夏が一瞬声が詰まったり、彼女を取り巻く状況を表している。

セリフでも状況説明はありますが、ももクロの楽曲を使った細かい演出が本当に上手いと思いました。

あと、意図せず夏菜子との会話が笑いどころになってたのが面白かったですw


<希望の向こうへ>
有安杏果の卒業以来、百田夏菜子以外の3人の歌が急成長していることは感じていましたが、

この高さんのソロには度肝を抜かれました。何この音量!?

かつて声量がないと言われていた少女とは思えない豹変ぶりに驚きました。

PAの影響もあるんだろうけども、あーりんより音圧でかくなってるようにすら感じました。

初観劇した2回目の公演は緊張もあってか、音程やリズムに不安定なところはあったのだけど、

10.3のマチネではそういった不安定さはなく素晴らしかった。

声量が上がってもファルセットのコントロールが相変わらず見事で、美しいクリスタルボイスは健在。

この舞台でももクロは、とてつもない武器を手に入れたのかもしれません。


<LOST CHILD>
鈴木聡さんなのか本広克行監督なのかはわからないけれども、

この曲をここに持ってくるセンスに脱帽しました。(おそらくは鈴木さんと予想)

「LOSTCHILD=迷い子」は彷徨える魂である夏菜子と、それを追いかける3人にピッタリの言葉。

「私の中に知らない私が隠れているんだ」「私は私の中の私に今すぐ会いに行きたい」といった歌詞は、

前世の記憶を失った3人と完全にシンクロしていて、まるで書き下ろされた曲のよう。

ライブでは干され曲になりがちな「LOST CHILD」に、新たな息吹がもたらされたと思います。

個人的に大好きな曲なので本当に嬉しかったなぁ。

それから、前のソロシーンから円形ステージの多層ターンテーブルを使った演出が施されていて、

このシーンからその意図が明白に見えて来ていました。

基本的にステージの回転軸と距離感は、登場人物たちの気持ちの同調を意味する。

だから「でも…」とれにが喋り始めると、他の2人とは違う回転軸に乗って距離が離れる。

その語りに同調して話し始めると、同じ回転軸に乗っかって距離を縮める。

これは地味だけれども、実はものすごく難しい芝居だと思いました。

何しろセリフのリズムが崩れれば、回転軸を乗り換えるタイミングがズレてしまい、

上手くキャラクターが同調したことを表現できなくなってしまう。

完璧な台詞回しと間を図ることが出来なければ、台無しになってしまう演出だからです。


↑通し稽古のムービーの40秒くらいから、やはり難しいシーンとして挙げてますね。

これは彼女たちの演技と対応力に、本広監督からの信頼があってこその演出なのでしょう。


<オーディション>
歌の全く無いダンスナンバー。

マスターキーを使い突然紛れ込んだ世界で、4人は突然アイドルのオーディションを受ける。

この展開が唐突だと批判する意見も見たけれども、後になるとちゃんとその意味がわかったり。

それにしてもこのダンスシーンがめちゃくちゃかっこいい。

アイドルとしてももクロがやっているものとはまた違う、

他のアンサンブルメンバーとがっつりシンクロしたジャズダンスで、

アイドルというよりミュージカルのオーディションシーンといった感じだったかな。

あくまで夏菜子がダンス部の知識で妄想したアイドルのオーディションなのでしょう。

2回目に見た時は上手側だったのですが、あーりんが目の前で踊ってくれたのが最高ですラブ

こういうキレキレのダンスを踊ると、本当に彼女は映えますね~。

彼女はこの後のシーンでも目線はガンガン飛ばして釣りに来るし、流石だなと思いました。


<Do you wanna dance?>
第一幕のラスト。

物語冒頭からさんざん刷り込まれてきたメロディーが、しっかり形になって歌われます。

ただでさえ癖になるハッピーなメロディーなのに、

バンドのジャジーな演奏が数百倍にも華やかで、ゴージャスで、ノリノリに楽曲を引き立てる。

初回観劇時は第二幕突入前なのに手拍子も起こってましたね~拍手

もうなんか「アイドルになれました(終)」でハッピーエンドでも良いかって気分になりました。

前回も書きましたが、やはりももクロはバンドメンバーに恵まれてる。

この小編成でこれ程の盛り上がりを魅せられるのは、生半可な実力では難しいでしょう。

何より今回はアレンジャー宗本康兵の素晴らしさを改めて感じました。

彼をバンドマスターとして巡り会えたことはとんでもない財産と言えるでしょう。

その実力を見抜き、後任に推してくれた武部聡志DMB名誉音楽監督には本当に感謝ですねキラキラ



さて第一幕の順を追った感想はこんなもので。

休憩時間に入って真っ先に思ったのは、体感30分くらいであっという間に時間が過ぎたということ。

とにかくテンポよく話が進むので退屈せず、死を扱ってるのにもかかわらず暗くならず、

むしろ笑わせながらもキャラクターの内面を掘り下げて軽くもならない。

この時点での満足度はかなり高かったのを覚えています。

まぁただ、第二幕ではペンラ振ってほしいだの、コールしてほしいだのという情報があって、

初回観劇時にはどうなることやらとハラハラしてた記憶があったり。
(個人的には観客が介入しなきゃ成立しない舞台は望んでなかったので)

続く第二幕の感想も長くなるので、また後ほど続きを書きたいと思います。