TEAC 『V-6030S』 自己流修理記録 -- Part 2 -- | みっきーの きままな音楽生活 70's-80's LIGHT & MELLOW GROOVE

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さて。

久しぶりの更新は、私の1997年からの愛機カセットテープデッキ
名門TEAC社(スタジオ機器ブランドではTASCAMとして名の知れたメーカーです)が一般向けに販売した最後の本格3ヘッドデッキ『V-6030S』の自己流修理記録です。

記事としては第二弾です。
第一弾記事はキャプスタンベルト交換とキャプスタンモータの交換の作業記録でした。
『TEAC V-6030S 故障。自己流修理!』(2016年03月18日)
https://ameblo.jp/recomania/entry-12140382767.html

今回の故障も、消耗部品の劣化による不具合。

今回は、なんと!
テープが巻き込んでぐしゃぐしゃになってしまう現象。

これはテープメディアでは絶対に起きてほしくないことですが、起きてしまいました。。。

最悪ボンバー!!(死語)

これまでは使用していたのが現在新品で販売されている粗悪な90分テープだからかと思っていましたが、

そうではないことを確信!

(※ 90分以上のテープは薄いため機器メーカーもあまり推奨していません。)

実際に巻き込みでそう感じたのが、このテープ(70分テープ)です。



時は1993年。

当時中学生だった私がレンタルで借りたCDからSONYのCDラジカセ「DoDeCaHorn」(型番 CFD-200)を使って録音したBON JOVIのテープ。。。
当時定評のあった日立マクセルのUDですよ。
あーあ。。。。

それにしても、1991年に世の中にMDが出現し、アナログカセットは衰退かと思いきやまだまだ1993年はカセットの時代でした。
当時のテープはきちんと保管していたため
今もほぼ劣化が見られず当時のカセットの品質の良さが感じられます。


余談はさておき、

このテープを再生したところ、再生から1分程度でデッキからテープがクチャっとなる嫌な音が聞こえてすぐにストップして取り出したのでこの程度で済みましたが、放っておけば走行系から完全に脱落して最悪の場合ぶっちぎれてしまうところでした。

ここで、なぜこのような事象が頻発するようになったのか考えました。

まず疑うべきは送り側のピンチローラの劣化や汚れ。
あとはヘッドの角度(アジマス、あおり角、高さ)等がずれてきている。
など、いろいろあります。

しかし、定期的にクリーニングしてますし、見た目にも異常は見られない。


となると・・・・

本機のような、3ヘッド機で、かつ、クローズド・ループ・デュアル・キャプスタン方式の走行系を持つモデルで、疑うべきは、、、

バックテンション機構の不具合

まず、3ヘッドデッキでの クローズド・ループ・デュアル・キャプスタン機構の仕組みについて、概略を下図にて理解していただきたいと思います。

今回の私のデッキをもとに図にしてみました。
↓ クリックで拡大できます。

この図のとおり、左側のキャプスタンと右側のキャプスタンには一定の張力が発生していますが、
テープが左側のキャプスタンの前の段階でテンション(バックテンションといいます)がかかっていない場合、左側キャプスタンとピンチローラーに挟まれて送り出されるテープの位置がずれ、蛇行し、正しい走行経路を通らなくなるため、テープが脱落し、巻き込まれたりするわけなのです。

つまり、巻き取り側のリールではなく、巻き取られる側のリールに一定の抵抗力が必要で、それが「バックテンション」となるわけです。

以下の図のとおり。
↓ クリックで拡大できます。


そこで、私のデッキがどのような状態であるかを検証してみる必要がある。

検証するにあたって、カセットドアのフロントパネルを取り外しました。
※ 「OPEN/CLOSE」ボタンを押し、OPENの状態で上方向に引っ張ると外せます。パネルは豪華 5mm厚のアルミ削り出しで重たいので扱いに要注意です。



以下、検証動画です。
(私の声が聞き取りにくく、スミマセン)


このチェックは必ず再生状態で行ってください。

結論から言いますと、バックテンション用のベルトがどうやらダメになっているようです。

そこでバラしてベルト交換という処置をとることにしました。

ボンネットを開け、前面パネルをすべて取り外し、
メカ部をチェック。
メカ部分を隠している化粧板を外すと、、、



こんな状態でした。

もっと寄ってみると、



やはり、バックテンション機構のベルトが切れてぶら下がっています。

しかもゴムの劣化でプーリーにくっついてしまっていました。

ピンセットで丁寧に取り除きました。



見事なまでの劣化。。。

参考までに、このベルトの交換は
直径は25mm程度のもので1mm以内の「角ベルト」であれば大丈夫です。
(直径30mmではブカブカで使えませんでした)


※ このTEAC社のV-6030Sのメカ部はSANKYO社製のメカ(通称サンキョーメカ)なので、V-6030S/V-8030S以外でも同じメカを採用している他社メーカーのデッキでも同じ規格のパーツが使用できる可能性が非常に高いです。
私の掲載したV-6030Sのメカ部分の写真を見て、同じかも!という方も試す価値ありです。


早速、Amazonより25mmの角ベルトをお取り寄せしました。



コレです↓



いろんなサイズの角ベルトの詰め合わせ商品などもありますがサイズその他に当たりハズレがあるので、購入したい径が分かっている場合は、ピンポイントでその径のものを買うのが良いです。
※ 私も失敗済みです(^^;)

交換して終わりなのですが、ラックから取り出してバラしたついでに、更にバラして、各部のクリーニングや古くなったグリースの塗布のしなおしを行いました。

グリースの選択も間違うとパーツの劣化につながるのでいろいろと調べた結果、
プラスチックのパーツ部分に悪影響が少ないグリースはタミヤ模型のミニ四駆用のグリースだそうで、購入。
確かにミニ四駆はプラスチックのギヤで構成されているので劣化させられませんね。



ここまでバラバラに。


各部クリーニングとグリスアップをし、メカ部を組み上げたら
肝心の、今回に目的でありますところのバックテンションベルトをかけます。



このように。

もっと寄った写真は以下



化粧板を取り付け・・・



全部元通りに組み立てたら終了



なのですが!!

以前の記事でのキャプスタンベルト交換時に行った速度調整をよりいっそう正確なものにするため、テープ速度調整も行ってから組み立てました。

本来はテープスピード調整用のテストテープが必要ですが、現在は生産/一般販売されておらず、中古品はとても高価なうえ、伸び等の劣化の心配があります。

そこで、記事にしていなかったのですが、

今年に入ってから速度調整用のテープを自作しました。

ちょっと特殊な調整方法に用いるテープの作成です。

用意したのは現行のチープな10分テープです。
日立マクセルのULです。100均にもあるものです。


どう製作するか。

それは、カセットテープの世界標準規格に基づいて製作します。

いわゆる速度調整用のテストテープとは全く違ったものですが、より正確に調整できる方法を考えました。

上に掲載した図にも書きましたが、

カセットテープは1秒間に15/8 inch 進むと世界標準規格で定義されています。
15/8 inch はつまり 4.7625 cm なわけで、
つまりは1秒間に 4.7625 cm 進んだことが確認できるテープを製作し、実測すれば良いということです。

そこで問題になるのが、どれだけの長さのテープを作ればよいか。
小数点以下の端数がうっとおしいので端数が最も少なく、キリのいい秒数であれば、手持ちの定規やメジャー等を使用してきっちりの長さのテープを切り出すことができます。

そこで計算した結果を以下の図に示します。


今回は上の計算結果から、40秒ジャストのテープを製作します。

長いほど正確な調整ができるので、40秒に決めました。

以下、手順。

①片面でいいので、あらかじめ音声(適当なサイン波等)を録音します。

②カセット本体を分解し、テープを取り出したら、上図の計算より、190.5cm (75inch) ジャストにカット。

③両端をもともとのリーダーテープに接続しなおす。
※ リーダーテープとは(カセットの最初と最後に存在している、磁性体のない録音できない無音の透明なテープのことです)

④組み立てます。

⑤完成。

こうしてできた自前の40秒ジャストのテープ。


きちっとリーダーテープに接続しています。


40秒ジャストの音が録音されている自前の速度調整用テープ。
これを再生して、その時間が40秒であれば世界標準規格に合致したテープスピードになる、というわけです。

実測にはストップウォッチ等では正確性に欠けるため
PCへ録音し、正確な時間を見ます。

ベストなタイムが出るまで再生音を録音してはタイムをチェック。
そしてキャプスタンモータの速度調整を行う。
これを40秒ジャストになるまで繰り返します。

以下に、実測した結果を以下にスクショで掲載します。
※ PCの録音に使用したソフトウェアは、メジャーどころの『Sound Engine Free』です。


調整は必要がないくらいでしたが、
調整を追い込んで追い込んで、実測 40.026秒。
これが限界かな。
この小数点はデッキの誤差範囲内とみなせるので問題ありません。

さて、速度調整も終わったわけですが、
このテープにあらたに440Hzのサイン波信号を上書き録音します。
予備の10分テープも開封し、440Hzのサイン波を録音。

なぜ440Hzかというと、
440Hzというのは、音階で言うところの「ラ」の周波数であり、コードで言うと「A4」であるので、正確なテープスピードで録音した440Hzの音が入ったテープを再生し、楽器店等にて入手できるギターのチューニンググッズなどでA4で合わせれば、簡易的にスピード調整ができるわけですね~。
(「いわゆる」本来の速度調整用のテストテープも似たような使い方をします。)

さて。

あとはボンネットカバーやフロントパネルを組み立てて終了です。




長い記事を最後までありがとうございました。

同じような悩みの方に参考になればと思いますが、
作業はあくまで自己責任において行ってください。

使用したバックテンション用の角ベルト



使用したプラスチック部品にやさしいグリース



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