もしも、メンバー間でバレンタインチョコを渡したら
...?


case1

「土生ちゃん!」

「ん?みいちゃん、どうしたの?」

「今日、何の日?」

「それは、もちろんバレンタインでしょ。」

「正解!はい、これ。」


土生の前に小さな小包を差し出す美波


「え、いいの?」

「もちろん!」


嬉しそうに美波から受け取る土生


「今日、チョコだけでお腹いっぱいになっちゃうよー。」

「え?」

「え?」

「他にももらったん?」

「うん。」

「誰からもらったん?」

「ゆっかー、ゆいぽん、葵、保乃ちゃん有美子...かな。」


ニコニコしながら答える土生を見て、あからさまに表情が変わる美波


「返して。」

「え?」

「私が渡したやつ返して。そんなにもらったら、私のいらないやん。」

「え?いるよ。」

「なんで?」

「私のためにわざわざ準備してくれたんでしょ?お金や時間を使ってくれてるんだから、もらわないわけにはいかないよ。ね?」

「...土生ちゃんずるい!」


土生の一言で、すぐに機嫌が直る美波だった...





case2

「唯衣ちゃん。」

「ん?玲ちゃん、どうしたん?」

「はい、これ。」

「ん?」

「ん?」

「これってなに?」


突然目の前に出された小さな箱に、驚きを隠せない唯衣


「2月14日といえばー?」

「バレンタインなのは分かるよ。」

「だーかーらー、チョコだよ?」


驚いている唯衣とは対照的に、いつもと変わらない様子の玲


「私に?」

「うん。」

「なんで?」

「なんとなく?」

「なんかのドッキリ?」

「ううん。」

「じゃあ、なんで?」

「なんでって?」

「他にもメンバーはいるのに、なんで私?」

「唯衣ちゃん、すっごくおもしろいから。」

「は?」

「箱の中見てみて?」

「なに入ってるん?」

「琵琶湖型のチョコ。」

「ほんまに言ってる?」

「見てみて。」


玲の言葉に急いで中を確認する唯衣


「え...ハートやん。琵琶湖ちゃうやん。」

「冗談でしたー。」

「いや、ボケんといて。」

「ボケたいんだもん。」

「玲ちゃんのボケ、ツッコミにくい!」


玲に振り回される唯衣だった...





case3


「るんちゃん!」

「ん?」

「ん!」


ひかるを呼んだかと思えば、ひかるの方に手を出す保乃


「ん?」


その様子の意味が分からず首を傾げるひかる


「なんか私にプレゼントないの?」

「え?」

「ほら、今日って...」

「あー。」

「分かった?」

「うん。」

「だから、ね?」

「ちょっと待ってね。」


そう言って、バッグの中に手を入れるひかる
その様子を見て、嬉しそうに待っている保乃


「はい。マシュマロ。」

「るんちゃん。それ、意味分かっててやってるやろ。」

「あ、バレた?」

「それはあかんやつ!」

「冗談、冗談。」

「他にあるやろ?ほら...あれ!」

「あー、あれね。ちょっと待って。」


そうして、再びバッグに手を入れるひかる


「はい、飴ちゃん。」

「え...」

「この飴ちゃん、保乃好きでしょ?」

「いや、好きだけど...ちゃうやん?この飴ちゃんはこのタイミングちゃうやん?」

「あはははは!!」

「るんちゃん!」

「ごめんごめん。はい、これ。」

「え...」

「これ、前に食べたいって言ってたやつ。」

「うそ...これ、くれるん?」

「うん。」

「るんちゃん、ありがとう!」


沢山弄ばれた後に、ちょっとしたサプライズをされる保乃だった...





case4


「おぜー。」

「莉菜、どうしたの?」

「これ、あげる。」

「え?」

「今日、バレンタインでしょ?」

「あ、そっか!」

「え?もしかして、忘れてた?」

「すっかり...数日前までは覚えてたんだけど。」


尾関の反応に驚きを隠せない莉菜


「忘れることある?」

「忘れてたというか、日付感覚失ってた。」

「おぜ、疲れてるんだよ。」

「そうかな...」

「はい、これもあげる。」


そう言って、尾関の前にお茶を差し出す莉菜


「あ、ありがとう。」

「あと、これも。」

「え?」

「さっき、紙で指切ってたでしょ?だから、絆創膏。」

「ありがとう...」

「それから、これも。」

「これは?」

「おぜのワンちゃんのメロンちゃんに。」

「え?メロンに?」

「うん。犬用のおやつだから安心して。」

「莉菜、本当にありがとう!ホワイトデーにちゃんとお返しするね!」

「絶対忘れてると思う。」

「そんなことないよー!」


莉菜から沢山もらった尾関だった...





case5

「幸阪さん。」

「ん?どうしたん?綺良ちゃん。」

「幸阪さんは、チョコ味の昆虫と昆虫味のチョコだったら、どっちを選びますか?」

「は?」

「いや、よくあるじゃないですか。究極の選択みたいな...」

「いや、それは分かるんだけど...なに、その質問。」

「ちなみに私は...」

「いやいや...自分の答えを言う前に、その質問をしようと思ったきっかけは?」

「んー、なんとなく思いついたので。」

「あ、そう...」


綺良にこれ以上追求しても無意味だと感じた茉里乃

そんな茉里乃の様子を気にもとめない綺良


「それで、幸阪さんはどっちを選びますか?」

「んー...」

「ちなみに私は、昆虫味のチョコを選びます。」

「なんで?」

「えー、まず昆虫味ってどんな味か気になるので食べてみたいと思ったのと、いくらチョコ味とはいえ、昆虫を食べるのは気が引けます。」

「じゃあ、私もそっちで。」

「幸阪さん、適当じゃないですか?」

「そうでもないよ。」

「えー?本当ですか?」

「うん。」

「じゃあ、幸阪さんと私は相思相愛ですね。」

「なんで、そうなるん。」

「えー、細かいことはいいじゃないですか。」

「細かいことじゃない気がするんだけど...まぁ、いいか。」

「はい。」


なんやかんや、綺良との絡みが心地よく感じている茉里乃だった...





case6


「ゆいぽん。」

「ん?」

「渡したん?」

「え?」

「まだ、渡してないん?」

「......みいちゃん...声大きい。」

「大丈夫。みんなわちゃわちゃしすぎて聞こえてないから。」

「みいちゃんは、渡したの?」

「うん。さっき渡したよ?」

「どういうふうに渡したの?」

「普通に、『はい、これ。』って。」

「そっか...」

「ゆいぽんも...何も考えずに渡しちゃえばいいんじゃない?」

「え?」

「そんな肩に力入れてたら、渡される側も力入っちゃうし、変に緊張しちゃうよ。」

「そう...だよね...」

「もう...最近は狂犬じゃなくてチワワだね。」

「みいちゃん。」

「そんな、乙女なゆいぽんに力を貸してあげましょう!」

「え?」

「理佐ー!!」

「ちょ!みいちゃん!」


美波に呼ばれてすぐに近寄ってきた理佐


「美波、どうしたの?」

「なんでもない。」

「え?」

「私は用事ない。」

「え?どういう...」


明らかに困惑している理佐に恐る恐る声をかける由依


「理佐。」

「ん?こば、どうしたの?」

「これ...」

「ん?」

「あげる。」

「もしかして...チョコ?」

「うん。」

「いいの?」

「うん。」

「ありがとう。」

「ううん。」

「私にくれたの由依だけだよ。」

「え?」

「え?」

「他の人からもらってないの?」

「うん。」


理佐の発言に驚く由依


「なんかみんな、『理佐はもらえるから渡さなくてもいいよね』とか言ってスルーだよ。」

「そう...だったんだ。」

「だから、由依からもらえて嬉しいよ。ありがとう。」

「...ううん......」


ちょっと恥ずかしくなって俯く由依

そんな由依の頭にそっと手を置く理佐


そして、理佐は由依の耳元に顔を近づけて口を開く


「大切に食べるね。」

「.../////」

「あ、ホワイトデー楽しみにしててね。」

「う...うん...」


「友梨奈に自慢してやろ......おぜー!見てー!こばからもらったー!」

そうして、颯爽と元いた場所に戻って行った理佐

そんな理佐とは対照的に、チョコを渡した相手の背中をボーッと見ることで精一杯の由依だった...





「ねぇ、まつり。」

「ん?」

「この楽屋、いつも以上に甘くない?」

「天ちゃんには、ちょーっとだけ早いかな。」

「子供扱いしてるでしょ。」

「ソンナコトナイヨー。」

「カタコト...夏鈴に構ってもらお。」

「ちょ、天ちゃーん!」