キョウケンの言葉に目を丸くする3人だったが、なにか意味があるのだろうと首を縦に振った

キョウケンの勘の鋭さは3人がよく知っている

いままでも、そのおかげで危機を脱したりチャンスを掴んだりしたことが多かった

きっと今回もなにかを感じ取ったのだろうと容易に想像ができた


お嬢様と軍曹が建物に入ったことを確認して、同じように入ろうと4人で顔を見合わせる


「やめた方がいいですよ。」


移動しようとしたとき、後ろから誰かが声を掛けた

物音一つせず突然だったこともあり、4人一斉に身構え声のした方に視線を向ける


「タヌキじゃん!」


声の主が分かった途端、キャロがタヌキに抱きつく


「タヌキ、それどういう意味?」


キャロの反応とは裏腹に、キョウケンが冷たい目を向けながら訊く


「そのままの意味です。着いて行っても得しませんよ。」

「タヌキは知ってるの?」


タヌキの口振りに違和感を覚えたスタイルが、すかさず質問を重ねる


「さぁ。どうでしょう。」

「はぐらかすな。」


明らかになにかを隠しているタヌキの様子に、痺れを切らしたアタラップがタヌキの胸ぐらを掴む


「アタラップ。手を出したら許さない。」

先程まで笑顔を浮かべていたキャロがアタラップを睨みつける