「コリーニ事件」を観てきました。
ストーリーは、
新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。
というお話です。
カスパーは資料を片っ端から調べ、その事件で、この2人に何があったのかを知ることになる。コリーニがハンスを殺した動機は分かったのだが、なぜ今頃になって実行したのかが分からなかった。そして法廷でカスパーが動機を公表し、事実を明らかにすると、被害者側の弁護士でカスパーの先生にもあたるマッティンガー教授が、「一度、ハンス相手に戦犯としての訴訟を起こしたが棄却された案件だ。」と言う。カスパーが知らなかった事実が出てきて慌てるが、その最初の訴訟を調べると、とんでもない事実が明らかになってくる。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かった~!本当に良く出来ているストーリーで、ベストセラーになるの解ります。このミステリー小説がきっかけになり、ドイツ連邦法務省が動いて「過去再検討委員会」というものを作ったそうです。過去は変えられないのだから、まだ被害者がいるのなら、その犯罪を受け止めて、理解して行く事も必要なのだと思いました。日本も、硬い頭をもう少し柔軟にして、被害者が訴えるなら話を聞く必要もあるんじゃないかな。まぁ、お金目当ての嘘をいう人たちは相手にする必要は無いけどね。
弁護士のカスパーは、子供の頃に父親が家を出て行き、母親も彼を育てられなかったので、施設に行くはずだったのを、このハンスが引き取ってくれたんです。子供の頃から、ハンスの孫のフィリップと仲が良く、青年になると、孫のヨハナと恋愛関係になり、幸せな日々を過ごしていたのですが、フィリップとその両親が事故で亡くなり、カスパーは弁護士となるべく大学へ入り、ヨハナとは別れました。そんなカスパーとヨハナは、久しぶりに裁判所で再会します。それもハンスを殺した男の裁判で。
最初はカスパーも恩人を殺した人物だし、マッティンガー教授からも面倒な事はするなと言われ、コリーニ黙秘のまま、上手く進めて情状酌量で、終身刑ではなく何年かの刑期で済むようにしようと相手方とも話をつけるのですが、調べていく内に、とんでもない真実が出てきてしまうんです。それも、彼が生まれる何年も前の戦争時代の出来事です。
とっても真面目な性格のカスパーは、とことん調べ始めちゃって、周りがやめとけって言っても聞かずに、凄い勢いで調べるんです。自分を捨てた父親の力も借りてね。カスパーは、コリーニと会うまでは父親を恨んでいるんです。そしてトルコ系の自分を嫌がらずに育ててくれたハンスを尊敬しているのですが、コリーニに言われた一言で、少し考えを改めて父親を頼るんです。その親子の雰囲気がとても良かったですよ。
私、この映画を観て、やっぱり日本も目を背けてきた事実を見直した方が良いんじゃないかなぁと思いました。自分たちの汚い部分を見るのは本当に嫌だけど、でも、苦しんだ人がいるのだから認めるべきだし、その時代に生きていなくても、事実は受け止めるべきなんじゃないのかしら。自分たちの良いように歴史を捻じ曲げ、法律を捻じ曲げ、きれいごとで済ませていても、被害者がいる限り、何も終わらないんです。
このコリーニさんは戦争で人生を壊されてしまった一人で、本来生きるはずだった人生を歩めなかったのかなと思いました。ずーっと恨み憎しみを胸に生きてきたのだから、苦しかっただろうと思います。こんな人を、もう作っちゃいけませんよね。戦争はやってはダメなんです。
戦争の悲しさを訴えながらも、法律の怖さ、人間の欲なども描かれており、反対に、親子の在り方や愛をも描いていて、よく出来た映画だなと思いました。私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この映画は面白いです。カッコ良くてテンポの良いアクションとは違いますが、じっくりと真実を明らかにして行く過程や、主人公カスパーの心の揺れなども、ドキドキハラハラさせて、楽しめる映画に創られていました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。