Another 10 Yearsベビメタ名場面(5) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日4月2日は2013年、日テレ「スッキリ!」でBABYMETALが報道され、2016年、日本人初のSEE Arena Wembley 公演が行われ、2019年には、3rdアルバムの全世界同時リリースと、2019年日本公演「BABYMETAL AWAKENS THE SUN ALSO RISES」@横アリと、「BABYMRTAL ARISES BEYOND OF THE MOON LEGEND-M-」@ポートメッセなごやの開催が発表された日DEATH。

昨日、株式会社アミューズは、山梨県にある富士五湖のひとつ西湖に面した8800㎡(約2700坪)の敷地に、”アミューズ ヴィレッジ”を創設し、7月より本社機能を移転すると発表した。
渋谷にある現在のオフィスは存続するとのことで、ファンレターの宛先も変わらないとのことだが、”アミューズ ヴィレッジ“には、「執務スペース、会議室、食堂、宿泊施設、レッスンルーム、撮影ルーム、映像編集ルーム、多目的ルームなどを完備する予定」(同社HPより)とのことなので、BABYMETALのメンバーやスタッフも、ここで合宿したりするのかもしれない。
なお、同日、ONE OK ROCK、佐藤健、神木隆之介が同社のマネージメントから離れることも発表された。

<2013年(2)>

●2013年8月10日
Summer Sonic 2013幕張Rainbow Stage(定員5,000人)
<セトリ7曲>
1.    BABYMETAL DEATH
2.    メギツネ
3.    Catch Me If You Can
4.    ド・キ・ド・キ☆モーニング
5.    いいね!
6.    ヘドバンギャー!!
7.    イジメ、ダメ、ゼッタイ
神バンド:Leda(下手G)、BOH(B)、青山英樹(D)、大村孝佳(上手G)

五月革命終了直後から、サマソニに至るまでに、BABYMETALは神バンドとのライブおよび野外フェスを矢継ぎ早にこなしている。
2013年5月26日にはMETROCK Tokyo 2013@新木場若洲公園、6月22日「いなりんとヒット祈願奉納会」@タワレコ渋谷店B1、6月23日アミューズ株主総会ライブ@両国国技館、同日フリーライブ@お台場ダイバーシティ、6月30日Legend "1999" YUIMETAL&MOAMETAL聖誕祭@NHKホール、7月7日Rock Beats Cancer FES Vol.2@日比谷野音、7月14日Legend ~キツネ祭り@目黒鹿鳴館、7月15日SUMMER CAMP 2013@川崎CLUB CITTA'、7月21日JOIN ALIVE@北海道いわみざわ公園、8月4日Rock In Japan 2013@ひたちなか公園という具合である。
フェスor 単独公演、会場の大小、野外or屋内、カラオケor生バンドなど、それぞれのライブは条件が異なっているが、いずれにしても、さくら学院から切り離されたBABYMETALが独立ユニットとして出演し、観客をアイドルとは思えない本格的メタルで圧倒する「修業」の期間だった。
とはいえ、卒業したSU-はまだいいとして、YUIとMOAはさくら学院での活動もあり、まったく休みがない過酷なスケジュールであることを批判するファンがいたほどだった。
2回目のサマソニは、前年秋以降、大会場をSOLDOUTし、メジャーデビューしたことを反映して、2段階昇格のRainbow Stageだった。
ここで、歴史に残る名言が生まれた。
メッセエリアのBABYMETALの出番は、マリンスタジアムエリアのメインステージに出演するラップメタルの雄、リンキンパークと重なっていた。
そこで「BABYMETAL DEATH」のプレリュードをバックに、「メタルマスターにメタルの極意を授かったBABYMETALは…」という「紙芝居」が始まり、集まった観客に対して、ナレーターが「リンキンパークはこっちじゃないぞ」と挑発したのだ。
もちろん、観客は話題のBABYMETALを見ることを選んだのだから、「ウォー!!」という歓声で応えた。
それから約45分間、発売されたばかりの「メギツネ」でのお祭り騒ぎ、「Catch Me If You Can」での神バンドの超絶演奏、「ヘドバンギャー!!」で客席に炭酸ガスを噴射するYUI・MOAの笑顔などなど、初めて見るロックファンも多かった客席は、「アイドルとメタルの融合」BABYMETALに熱狂した。
今思えば、2013年のBABYMETALのサマソニを見た観客こそ、現在のコアなファンの中心であり、さくら学院の父兄=アイドルファンから、ロックファン/メタルヘッズまで、BABYMETALのファンベースを拡大したのが、このサマソニであった。
前述したように、翌日の大阪・舞洲では、METALLICAでさえ魅了したのである。
そして、この「リンキンパークはこっちじゃないぞ」という語りは、2017年、マリンスタジアムのトリ前に出演し、SU-が「ついに!ここまで来ました!」と叫んだあの感動の伏線になっていた。
この年、リンキンパークのボーカル、チェスター・ベニントンが亡くなり、メッセ会場の入場口には彼を追悼するメモリアルコーナーが設置されていた。
SU-が叫んだあの時、2013年の「リンキンパークはこっちじゃないぞ」を咄嗟に思い出して号泣したメイトもいただろう。
そして翌2018年1月、ひとりの表現者の死がファンにどれほどの悲しみを与えるか、今度はBABYMETAL自身が味わうことになる。
ぼくらが目撃したBABYMETALの10年の歴史は、伏線が絡み合った、ひとつの物語を成しているのである。

●2013年10月20日
LOUD PARK 13@さいたまスーパーアリーナ
<セトリ 7曲>
1. BABYMETAL DEATH
2. 君とアニメが見たい
3.Catch me if you can
4.メギツネ
5.紅月-アカツキ-
6.ヘドバンギャー!!
7.イジメ、ダメ、ゼッタイ
神バンド:藤岡幹大(下手G)、BOH(B)、青山英樹(D)、大村孝佳(上手G)


BABYMETALの出演が発表された瞬間、 LOUDPARKのfacebookとTwitterのオフィシャルページは「大炎上」した。同年5月のももクロのOZZフェス出演と同様、「アイドル」を頭から拒否するメタル教条主義的な『BURRN!』編集部員と、BABYMETALを擁護する『ヘドバン』編集長とのツイッター上での論争が発火点となっていた。
そしてこれは、2014年に欧米で起こったBABYMETALはメタルか否か論争の「予行演習」でもあった。
KING DIAMONDの出演キャンセルによって、イングヴェイ・マルムスティーンがヘッドライナーとなった2日目は、チケットが売れていないという情報もあったが、ふたを開けてみると満員になっていた。
並列2ステージ構成になっていたSSAで、例によって「夜の公園」をテーマにした「紙芝居」が始まると、ステージ前には全観客が殺到した。
「BABYMETAL DEATH」から始まったセトリは、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「いいね!」「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」といったKawaii要素の強い曲が省かれ、アニメオタク≒アイドルオタク≒メタルオタクを通底する「君とアニメが見たい」に続いて、「Catch Me If You Can」での神バンドの超絶演奏、「紅月-アカツキ-」「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」へとつながるメタル色の強いものになり、当初冷ややかに見ていた後方の観客も巻き込み、巨大なWall of Deathが出現した。
BOH氏は、終演後、自身のブログでこう語っている。
―引用―
(前略)
「僕はもう『BABY METAL』は一つの新たなジャンルだと思います。
メタルも正義\(*`∧´)/言うまでも無く鋼鉄の信念を持って演奏をしています。
そして、カワイイも正義(`・ω・´)ゞアイドルですから。
そこに全てが集約されています。
あとは、これをもっともっと広めたい!!
昨日のような興奮を...奇跡の瞬間を多くの人と共有したい。
アイドルファンも、メタラーも、皆で二度と無い瞬間を共有して行ければ
そんなハッピーな事は無いですよo(゜∇゜*o)(o*゜∇゜)o~♪」
―引用終わり―
こうして、2013年のロックフェス修業はBABYMETALの大勝利に終わった。
どんな“アウェイ”な環境でも観客を熱狂させる実力と自信が蓄積され、2014年の日本武道館2DAYS公演~欧米進出という、これまでのアイドルファン、メタルファンの狭い了見を超えた展開が準備されたのである。

●2013年12月21日
Legend "1997"@幕張メッセイベントホール(定員8,000人)
<セトリ14曲>
01.ヘドバンギャー!!(-Night of 15 mix-)
02.ド・キ・ド・キ☆モーニング
03.いいね!
04.魂のルフラン(SU-METALソロ)
05.ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
06.ギミチョコ!!(初披露)
07.君とアニメが見たい
08.メギツネ
09.イジメ、ダメ、ゼッタイ
(アンコール)
10.おねだり大作戦
11.Catch me if you can
12.ヘドバンギャー!!(オリジナルVer.)
13.紅月-アカツキ-(Unfinished ver.)
14.BABYMETAL DEATH
神バンド:アンコール以降 Leda(下手G)、BOH(B)、青山英樹(D)、藤岡幹大(上手G)

そして、Legend シリーズの集大成として、2013年12月に行われたLegend “1997”は、2つの意味でBABYMETALを大きく羽ばたかせることになった。
ひとつは、この日初披露された「ギミチョコ!!」がMV化され、YouTubeにアップされたことである。
2014年4月にこのMVを見たアメリカのYouTuberたちのリアクション動画「YouTubers React to BABYMETAL」がアップされた。
「ド・キ・ド・キ☆モーニング」や「いいね!」には反応が薄かった彼らだったが、「ギミチョコ!!」を見た瞬間、「これはいい!」と魅了され、間奏部でMOAがステージを走り回り、8000人の観客がうねる様子を見て、「アメリカに来たら是非観に行きたい!」と即決するリアクションを見せた。
この動画に続いて、多くの欧米人がリアクション動画をアップし、「ギミチョコ!!」は、欧米の音楽ファンの話題になっていった。これが、2014年のBABYMETAL欧米進出の起爆剤になったわけである。
このライブのもう一つの意味は、ステージ上に設置された巨大な聖母マリア像=偶像=IDOLの象徴が、ライブの最後に崩壊したことである。
Legend “1997”はSU-の聖誕祭であり、オープニングは「アヴェ・マリア」の流れる中、YUIとMOAがキャンドルを持って登場し、聖母マリアに捧げるシーンから始まる。すると、その前にスッポンがせり上がり、MIXアレンジの「ヘドバンギャー!!」を歌うSU-が現れる。これは、ダンサブルな16ビートを基調とする「アイドル」の姿だろう。
だが、アンコール以降は神バンドが登場し、LOUDPARK13と同じようなメタルバンドとしての側面が強調された。オリジナルの「ヘドバンギャー!!」に続くフィニッシュ曲は「BABYMETAL DEATH」であり、誕生日だというのに磔にされたSU-METALが絶叫する中、聖母マリア像が上半身から崩壊する。
この演出によって、BABYMETALは「アイドル」の偶像に死を宣告し、メタルバンドとしての新たな再生を果たしたのである。
(つづく)